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「世界最速のインディアン」

今回は映画の話でも、バイクの話でもなく私の父の話を書きますので、タイトル
とは少しだけ離れますのですみません。興味の無い方はこのページは飛ばして
下さいね。
最近このページのタイトル通りの映画が放映され、そのCMを見かける度に思い
出すことがあります。
父の昔の口癖が「俺はインディアンに乗った事がある。」でした。
若い頃、お金持ちの知人のバイクを借りて乗ったというだけの事なのですが、
まだ幼い兄や私によくそんな自慢話を聞かせてくれたものでした。その話をする
時の父は何やら誇らしげで、さもついさっき乗ったような話ぶりでした。
その父も今年で68歳になるのですが、実は以前から患っていた肝硬変や糖尿病
などの併発で先日医師に余命1年を宣告されました。
「なんでこんな病気になったんや…」「俺は一生懸命働いてきただけやのに…」
父は自分の不運をこんな言葉で母に嘆いていたそうです。
今日は両親と静かな森のベンチで過ごしました。
小鳥のさえずりや若い鶯の声が響き穏やかな時間が流れる中で、ただのんびりと
ベンチに座っていました。
私の頭には…どうして今までこうした時間を持たなかったのだろう…と、後悔と
似た気持ちだけが繰り返しよぎりました。
「タバコ一本くれんか?」
私にそう言うと、父は医師から止められたタバコを一服し、ただニコニコと嬉し
そうに空を眺めていました。
母はその隣に黙ったまま座り、父を見ていました。
私はそんな二人を見ていました。

私もあと少しで40歳になります。今日まで仕事仕事で家族や家庭も顧みずに
生きてきました。それは父の背中を追うようであり、父を越えようとする気持ち
だったのかも知れません。
もしかすると父の乗ったインディアンに私も乗りたかったのかも知れません。
叶う事なら世界最速のインディアンから降りてゆっくりと歩んでほしいと願うばかり
です…


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